腰痛は腹筋を鍛えた方が良い?当院が施術判断で見ているポイント

この記事でお伝えしたいこと

  • 腰痛があるからといって、「腹筋が弱いこと」が原因とは一概に判断できません。
  • シットアップやクランチ、プランクなどでは身体の使い方が異なるため、「腹筋運動」と一括りにせず反応を見ることが大切です。
  • 当院では腹筋だけでなく、腰椎・股関節・胸郭の動きや呼吸、活動量なども合わせて確認して判断しています。

はじめに

「腰痛には腹筋を鍛えた方が良い」

一度は聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

実際、腰痛が続いている方からも、

  • 「腹筋が弱いから腰が痛いのでしょうか?」
  • 「腹筋を鍛えた方が良いですか?」
  • 「腰が痛い状態でも腹筋運動を続けて大丈夫ですか?」

といったご質問をいただくことがあります。

腹部の筋肉は、身体を動かしたり姿勢を保ったりする際に使われるため、腰との関係を考えるうえで確認する要素の一つです。

しかし、

「腰痛がある→腹筋が弱い→腹筋を鍛えれば良い」

と一直線に考えることはできません。

もし腹筋の強さだけで腰痛の有無が決まるのであれば、日頃から身体を鍛えているスポーツ選手や筋力のある方には腰痛が起こらないことになります。しかし実際には、十分に運動している方でも腰痛に悩むことがあります。

また、一口に「腹筋運動」といっても、シットアップやクランチのような運動と、プランクのように姿勢を保持する運動では身体の使い方が異なります。

当院では、「腰痛だから腹筋を鍛える」と一律に考えるのではなく、現在の腰痛の状態や身体全体の動き、実際に運動した時の反応などを確認しながら判断しています。

腰痛について、症状の特徴や当院の考え方を詳しく知りたい方は「腰痛」のページもご参照ください。 

「腹筋が弱いから腰が痛い」とは一概に言えない

腰痛があると、「腰を支える筋肉が弱いからでは?」と考える方もいらっしゃいます。

もちろん、腹部の筋肉が身体を動かしたり姿勢を保ったりする際に関わっていることは事実です。

しかし、腰痛には身体の動きや普段の活動量、仕事やスポーツでの身体の使い方など、さまざまな要素が関係します。

そのため、腰痛があるという事実だけから「腹筋が弱い」と判断することはできません。

実際、普段ほとんど運動をしていない方だけでなく、日常的にトレーニングをしている方や、十分な筋力がある方にも腰痛は起こります。

もし「腹筋を鍛えれば腰痛は解決する」という単純な話であれば、日頃から身体を鍛えているアスリートには腰痛の人はいないはずです。

しかし、実際にはそうではありません。

腹筋の強さは確認する要素の一つではありますが、それだけで腰痛を説明しようとしないことが大切です。

同じ「腹筋運動」でも身体への負荷は違います

「腹筋を鍛える」と聞くと、上体を起こす腹筋運動をイメージする方も多いかもしれません。

しかし、いわゆる腹筋運動にもさまざまな種類があります。

たとえば、シットアップやクランチでは身体を曲げる動きが入ります。一方、プランクでは大きく身体を動かすのではなく、一定の姿勢を保持します。

また、同じ種目であっても、フォームや回数、負荷などによって身体の使われ方は変わります。

そのため、

「腹筋運動だから腰に良い」

「プランクなら腰痛があっても大丈夫」

と種目名だけで判断することはできません。

また、「腹筋」という言葉も腹直筋だけの話として考えるのではなく、運動中に腹部周辺をどのように使っているのか、腰や股関節などがどのように動いているのかまで見る必要があります。

大切なのは「どの腹筋運動が良いか」を先に決めることではなく、その運動をした時に身体がどう動き、腰痛がどう変化するのかを見ることです。

「腹筋さえ鍛えれば」という考えに、臨床の中で感じてきたこと

以前、体幹トレーニングで腰痛を克服したという有名サッカー選手の話が、メディアで大きく取り上げられたことがありました。

その影響もあってか、

「腹筋さえ鍛えれば腰痛は治るんですよね?」

というご質問を、これまで何度もいただいてきました。

そのたびにお伝えしているのは、

「腹筋があるに越したことはないが、それさえ鍛えておけば腰痛が治るという単純な話ではない」

ということです。

実際に当院でも、ある競技の日本代表クラスのアスリートを施術した経験もありますが、その中にも強い腰痛に悩まされている方はいらっしゃいました。

さらに、臨床の中では一見矛盾するような二つのパターンを見てきました。

一つは、腹筋や体幹の力が弱く、座っている姿勢が崩れやすいことで、腰に負担がかかっていると考えられるケースです。

もう一つは反対に、お腹の上部を熱心に鍛えており、猫背のような姿勢もみられ、その座り方が腰への負担に関係していると考えられるケースです。 

同じ「腹筋」という要素でも、弱いことが負担になる方もいれば、鍛え方の偏りがかえって負担になる方もいます。

だからこそ当院では、「腹筋を鍛えれば腰痛が良くなる」とは考えず、その方にとって腹筋の状態がどのように腰痛と関係しているのかを、一人ひとり確認することを大切にしています。

当院が腹筋運動について判断するときに確認していること

腰痛のある方から「腹筋を鍛えた方が良いですか?」と聞かれた場合、当院では腹筋の強さだけを確認して判断するわけではありません。

まず、

  • どのような動作で腰が痛むのか
  • 前に曲げた時と反った時で違いがあるか
  • 腰椎がどのように動いているか
  • 股関節の動きはどうか
  • 胸郭の動きはどうか
  • 呼吸の際に身体をどのように使っているか
  • 腹圧をどのように使っているか
  • 普段どの程度身体を動かしているか

などを必要に応じて確認します。

腰を前に曲げた時と反った時で痛み方が異なる場合については、「前かがみで痛い?反ると痛い?腰痛の見方と判断のヒント」でも詳しくご紹介しています。 

すでに腹筋運動をしている方であれば、どの種目をどのくらい行っているのか、その最中に腰痛が出るのか、運動直後やその後に症状がどう変化するのかも重要な情報になります。

たとえば、腹筋を鍛えることだけに意識が向いていても、股関節や胸郭が動きにくく、運動時に腰へ動きが集中しているように見える場合もあります。

反対に、腰痛があるからといって、腹筋運動そのものを避けなければならないとも限りません。

「腹筋が強いか弱いか」を単独で見るのではなく、その方が身体全体をどのように使っているのか。

その中で腹筋運動を行った時に何が起きているのかを確認することを大切にしています。

腰痛があるときに無理に腹筋運動を続けない

腰痛がある状態で腹筋運動をする場合には、運動中だけでなく、その後の症状も確認することが大切です。

たとえば、

  • 運動中に腰痛が強くなる
  • 運動後まで痛みが残る
  • 回数を重ねるほど症状が強くなる
  • それまでとは違う痛みや症状が出る

といった場合には、

「痛いのは効いている証拠」

「続けていれば、そのうち慣れる」

と考えて無理に続ける必要はありません。

一方で、腰痛がある方すべてに腹筋運動を禁止するわけでもありません。

腰痛がある時に、安静にするのか身体を動かすのかという判断については、「腰痛は安静にした方が良い?少しずつ動いた方が良い?当院が施術判断で見ているポイント」でも詳しく解説しています。 

腹筋トレーニングが運動の選択肢になる方もいれば、股関節や胸郭の動き、身体の使い方、普段の活動量など、別の部分を先に確認した方がよい場合もあります。

大切なのは、

「腰痛だから腹筋を鍛えるべきか?」という一つの答えを探すことではなく、「現在の身体には、どのような運動が必要なのか?」という視点で考えることです。

当院では、腹筋という一部分だけを見るのではなく、腰痛の出方や身体全体の状態、実際に運動した際の反応などを確認しながら判断しています。

まとめ ~「腰痛=腹筋不足」と決めつけない~

腹部の筋肉は、身体を動かしたり姿勢を保ったりするうえで関係する要素の一つです。

しかし、腰痛があるという理由だけで「腹筋が弱いからだ」と判断することはできません。

普段から身体を鍛えている方にも腰痛はありますし、一口に腹筋運動といっても、シットアップやクランチ、プランクなどでは身体の使い方が異なります。

そのため、「腹筋を鍛えれば良い」「この腹筋運動なら大丈夫」と一律に決めるのではなく、実際に運動した時に腰がどう反応するのかを確認することが大切です。

当院では、腰椎だけでなく股関節や胸郭の動き、呼吸や腹圧の使い方、普段の活動量なども必要に応じて確認します。

「腰痛だから腹筋を鍛える」のではなく、現在の身体の状態を確認したうえで、その方にどのような運動が必要なのかを考える。

それが、腰痛のある方から腹筋トレーニングについて相談を受けた際に、当院が大切にしている考え方です。

スポーツを継続している方の腰痛症例として、「40代 男性 サッカーが原因の長年の腰痛」も併せてご参照ください。 

文責及び施術担当者:アルテカイロプラクティック院長 前田彰(院長プロフィールはこちら

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