この記事でお伝えしたいこと
- 腰痛があるからといって、靴だけを原因と考えて買い替える必要があるとは限りません。
- 靴底の減り方や履き替えた時の変化は、足元や身体の使い方を考える材料の一つになります。
- 当院では靴だけでなく、足首・股関節・腰椎の動きや立ち方・歩き方なども合わせて確認して判断しています。
はじめに
「腰痛があるなら、靴を変えた方が良いのでしょうか?」
腰痛が続いている方の中には、
「仕事で革靴を履いていると腰がつらい」
「スニーカーの方が楽な気がする」
「クッション性の高い靴にした方が良いのでは?」
「ヒールや厚底が腰に影響しているのでしょうか?」
と考える方もいらっしゃいます。
確かに、靴は立ったり歩いたりする際に、身体と地面の間にあるものです。
そのため、靴の形や硬さ、ヒールの高さ、靴底の状態などが変われば、足元の感覚や身体の使い方が変わることはあります。
しかし、
「腰痛があるから靴が悪い」
「クッション性の高い靴にすれば腰に良い」
「ヒールを履いているから腰痛になった」
と一律に判断することはできません。
当院では、靴そのものの良し悪しを先に決めるのではなく、その靴を履いた時に身体がどう反応しているのかを確認しながら判断しています。
腰痛について、症状の特徴や当院の考え方を詳しく知りたい方は「腰痛」のページもご参照ください。
靴が変わると「足元の条件」も変わります
靴にはそれぞれ違いがあります。
たとえば、
- 靴底の厚さ
- 硬さ
- クッション性
- ヒールの高さ
- 靴底の曲がりやすさ
- 足を支える感覚
などです。
これらが変われば、同じ人でも立った時や歩いた時の感覚が変わることがあります。
たとえば、スニーカーでは自然に歩けるのに、革靴では歩きにくく感じる方もいます。
逆に、柔らかい靴よりも、ある程度しっかりした靴の方が歩きやすいと感じる方もいます。
重要なのは、
「柔らかい靴が良い」
「硬い靴が悪い」
という話ではありません。
足元の条件が変わった時に、その人の身体がどのように対応しているのかを見ることが大切です。
靴だけでなく、足首や股関節がどう使われているかを見ます
足元の条件が変われば、その影響を足だけで処理しているとは限りません。
立ったり歩いたりする時には、
足首
↓
膝
↓
股関節
↓
骨盤周囲
↓
腰
と、身体全体を使っています。
たとえば足首が動きにくい場合、その動きを別の場所で補っていることもあります。
股関節が十分に動いていない場合も、腰周囲の動き方が変わる可能性があります。
そのため当院では、
「この靴が腰に良いか悪いか」
だけを見るのではなく、
その靴を履いた状態で、足首・股関節・腰椎などがどのように使われているのか
を合わせて確認します。
腰痛があるからといって、足元だけを変えれば解決するとは限らないからです。
靴の問題とは別に、「歩くことそのもの」で腰痛が出る場合の見方については、「歩くと腰が痛いのはなぜ?当院が施術前に確認しているポイント」で詳しくご紹介しています。
靴底の減り方も「身体の使い方を見る材料」の一つです
腰痛のある方から、
「靴底の外側ばかり減るのですが、身体が歪んでいるのでしょうか?」
「左右で靴の減り方が違うのは問題ですか?」
と聞かれることがあります。
靴底には、その靴を普段どのように使っているのかがある程度残ります。
そのため、靴底の減り方や左右差を見ることは、身体の使い方を考える材料の一つになります。
ただし、
「外側が減っているから○○が原因」
「左右差があるから骨盤が歪んでいる」
というように、靴底だけを見て腰痛の原因を決めることはできません。
私自身、約20年の臨床の中で患者さんの靴底を見ることがありますが、外側が少し減っているだけで心配されている方は少なくありません。
歩行では、かかとのやや外側から接地し、その後足裏へ荷重が移っていく動きが一般的にみられるため、外側が軽く減っている程度であれば、私は「基本的にはそれだけで心配する必要はありません」とお伝えしています。
一方で、靴底の内側に目立った減り方がみられる場合には、過回内(オーバープロネーション)など、足部が内側へ倒れ込むような使い方になっている可能性も考えながら、足首や足部の状態をより注意して確認します。
また、外側の摩耗であっても、軽く減っている程度ではなく一部分が大きく削れている場合には、立ち方や歩き方、荷重のかかり方に大きな偏りがないかを確認します。
もちろん、これらは約20年の臨床経験の中で身につけてきた見方ではありますが、靴底だけで身体の状態や腰痛の原因が分かるわけではありません。
あくまで一つの目安として、足首の動き、足部の使い方、股関節や腰椎の動き、立ち方や歩き方などと照らし合わせながら、お一人お一人の状態を確認することを心がけています。
「腰痛に良い靴」を先に探さないことも大切です
腰痛があると、
「腰に良い靴を教えてください」
と考える方もいると思います。
しかし、すべての腰痛の方に共通する「この靴を履けば良い」という答えを出すことはできません。
たとえばクッション性の高い靴でも、それを履いた時に歩きやすいと感じる人もいれば、足元が安定しにくいと感じる人もいます。
ヒールについては、当院では腰痛の有無にかかわらず、必要のない場面で長時間履くことを積極的にはおすすめしていません。
ヒールの高さによって足首の位置や立ち方、歩き方が変わり、身体の使い方にも影響するためです。
特に、長時間の立ち仕事や歩行が多い場面では、身体への負担を考えるうえで確認したい要素の一つです。
ただし、だからといって
「ヒールを履いているから腰痛になった」
と原因まで一つに決めることはできません。
足首や股関節、腰椎の動き、立ち方や歩き方、履いている時間なども合わせて確認します。
大切なのは靴の種類や機能だけではなく、
その靴を履いた時に立ち方や歩き方がどう変わるのか
腰の状態がどう変化するのか
を見ることです。
「腰痛対策用の靴」を探す前に、現在履いている靴と身体との関係を確認する方が、判断材料を増やしやすい場合もあります。
履き替えた時の変化も、判断材料になります
靴と腰痛の関係を考える際には、
「何を履いているか」
だけではなく、
履き替えた時にどう変わるか
も確認します。
たとえば、
- 仕事用の革靴からスニーカーに変えると違う
- ヒールを履いた日だけ腰の感じが違う
- 休日の靴ではあまり気にならない
- 靴を脱いでも同じように腰がつらい
- どの靴を履いてもほとんど変わらない
といった違いです。
ここで「仕事の日に痛いから革靴が原因」とは決めません。
仕事の日には、立っている時間、歩く距離、荷物、座っている時間、活動量なども変わるからです。
特に立ち仕事そのものと腰痛との関係については、「立ち仕事で腰が痛いのはなぜ?当院が施術判断で見ているポイント」でも詳しく解説しています。
しかし、条件を変えながら見ても、特定の靴を履いた時に症状の出方が変わるのであれば、それは靴を見直す一つの材料になります。
反対に、靴を変えてもほとんど変化がないのであれば、足首や股関節、腰椎、活動量など身体側の要素をより詳しく確認した方が良い場合もあります。
つまり当院では、
「腰痛があるから靴を買い替える」
のではなく、
靴を変えた時の身体の反応も利用しながら、今の腰痛と靴にどの程度関連がありそうなのかを考える
という見方をしています。
なお、足の強いしびれや筋力低下を伴う場合、安静にしていても強い痛みが続く場合、発熱などの体調不良を伴う場合、外傷後から強い痛みが続いている場合などは、靴の問題として自己判断せず、医療機関での確認を優先してください。
まとめ ~「良い靴探し」だけで腰痛を考えない~
靴の形や硬さ、クッション性、ヒールの高さなどが変われば、立った時や歩いた時の身体の使い方が変わることはあります。
そのため、靴は腰痛を考えるうえで確認する要素の一つです。
しかし、
「この靴だから腰痛になった」
「この靴に変えれば腰に良い」
と、靴だけで判断することはできません。
当院では、どの靴を履いた時に症状が変わるのかだけでなく、靴底の状態、足首や股関節、腰椎の動き、立ち方や歩き方、日中の活動量などを合わせて確認します。
そして、靴を履き替えた時の反応も判断材料にしながら、
「靴を変えることが今の腰痛にとって意味のある選択肢なのか」
を考えていきます。
腰痛があるからすぐに新しい靴を探すのではなく、まずは足元と身体がどのように関係しているのかを見る。
それが、腰痛のある方から靴について相談を受けた際に、当院が大切にしている考え方です。
文責及び施術担当者:アルテカイロプラクティック院長 前田彰(院長プロフィールはこちら)
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