この記事でお伝えしたいこと
- 来院間隔を患者さん任せにせず、身体の状態に応じて必要な間隔を提案することも治療家の責任だと考えています
- 初期は施術後の変化がどの程度維持されるかを確認するため、ある程度間隔を詰めて提案することがあります
- 状態が安定してきたら徐々に間隔を空け、最終的な来院ペースは患者さんと相談しながら決めていきます
はじめに
「どれくらいの間隔で通えばいいですか?」
初めて来院された患者さんから、よく聞かれる質問の一つです。
施術の間隔に、すべての方に共通する正解があるわけではありません。
身体の状態も違えば、症状が続いてきた期間や日常生活で受けている負担も違うからです。
だからといって私は、「好きな時に来てください」と患者さんにすべてをお任せするのも違うと考えています。
一時的に身体を楽にするだけでなく、良い状態を少しずつ安定させていくことを目指すのであれば、「何を施術するか」と同じように「次にいつ身体を確認するか」も大切だからです。
今回は、当院がなぜ来院ペースを一律に決めず、その一方で必要だと考える来院間隔についてはきちんと提案しているのか、その考え方についてお話しします。
「好きな時に来てください」で終わらせない理由
「来院するタイミングは、ご自身の好きな時で大丈夫ですよ」
この言葉は、一見すると患者さんの意思を尊重した優しい対応に聞こえるかもしれません。
しかし厳しいことを言えばそれは治療家として責任を放棄した態度だと私は考えています。
患者さんは「この身体を何とかしたい」「良くなりたい」と思って来院されています。
そして、そのために必要なことを考えるのが私たちの仕事です。
身体を確認した結果、
「今の段階なら、次はこのくらいの間隔で確認した方がいい」
と考えているのであれば、その理由まで含めて患者さんへ伝える。
来院間隔も施術計画の一部である以上、そこまで提案することが治療家としての責任だと私は考えています。
もちろん、こうした提案をすることに施術者側の怖さがまったくないわけではありません。
「たくさん来てもらいたいだけなのでは?」
「営業されているのでは?」
と思われるかもしれない。
誰でも人から煙たがられたり、嫌われたりするのは嫌なものです。
だから「好きな時に来てください」と言ってしまった方が、施術者側としては楽な面もあります。
しかし、患者さんにとって必要だと考えていることまで伝えなくなってしまえば、それは患者さんの意思を尊重しているというより、施術者側が提案する責任から逃げているだけになりかねません。
必要だと考えることは、根拠とともにきちんと伝える。
そのうえで最終的にどうするかを決めるのは患者さんです。
私はこの二つを分けて考えることを大切にしています。
初期の来院間隔を重視している理由
当院では、特に施術を始めた初期の来院間隔を重視しています。
施術をすると、身体には多少なりとも変化が出ることがあります。
ただし、
「施術によって身体が変化したこと」
と、
「その状態が安定したこと」
は同じではありません。
施術後には楽になっていても、仕事をしたり、長時間同じ姿勢で過ごしたり、運動したり、睡眠をとったりと、普段の生活へ戻れば身体にはさまざまな負担が加わります。
その結果、次回来院されたときには以前の状態に近づいていることもあります。
だから初期にある程度間隔を詰めて施術を提案することがあります。
これは単純に、
「状態が悪いからたくさん来てもらう」
という意味ではありません。
私が確認したいことの一つは、
「今回の施術で起きた変化が、日常生活に戻ったあと、どの程度維持されるのか」
ということです。
数日間生活してみたらどうだったのか。
症状はどう変わったのか。
次回来院したとき、身体はどのような状態になっているのか。
こうした経過を見ることも、次の施術やその後の来院間隔を考える大切な判断材料になります。
施術の経過は一度の変化だけで判断できないこともあります。当院が最初に「時間がかかる可能性」も含めてお伝えしている理由については、「なぜ当院では最初に「時間がかかる可能性」をお伝えしているのか?」でも詳しくお話ししています。
身体は慣れた状態に戻りやすい傾向がある
私たちの身体には、状態をある程度一定に保とうとする働きがあります。
また、長い間続けてきた姿勢や動き方、仕事での身体の使い方などがあれば、施術によって一度変化が出ても、日常生活に戻ることで再びそれまでの身体の使い方の影響を受け、以前の状態に近づくことがあります。
そのため私は、
「一度施術をしたら、そこから一直線に良くなっていく」
とは考えていません。
施術によって変化する。
日常生活に戻る。
少し以前の状態へ近づくこともある。
また身体を確認して必要な施術を行う。
こうした過程を繰り返しながら、以前より良い状態を維持できる時間が少しずつ長くなっていくことがあります。
初期の来院間隔を考えるのは、この変化を確認するためでもあります。
大切なのは「何日空ければ正解」という数字ではなく、その方の身体が施術後にどう変化し、その変化をどの程度保てているかを見ることです。
何を見て来院間隔を空けていくのか
初期にある程度間隔を詰めることがある一方で、状態が安定してきたら、私は少しずつ来院間隔を空けることを考えます。
その際に確認しているのは、たとえば次のような変化です。
- 施術後の良い状態が以前より長く続いているか
- 症状が戻ることがあっても、以前より程度が軽くなっているか
- 仮に症状が出ても長続きせずに消えていくか
- 仕事や日常生活で負担がかかっても、以前ほど大きく崩れなくなっているか
- 次回来院時に身体を確認したとき、以前より状態が安定しているか
こうした変化が見られるようになれば、
「次は少し間隔を空けても大丈夫そうだ」
と判断できるようになります。
私は臨床では、良い状態の方をその人の身体が「普通」として保ちやすくなってきた、というようなイメージで捉えています。
もちろん、間隔を空けること自体が目的ではありません。
間隔を空けても状態を維持できるのか。
そこまで含めて確認することが大切です。
提案する責任は持つ。でも、決めるのは患者さん
ここまでお話しすると、
「では、先生から言われた間隔で必ず通わなければいけないのですか?」
と思われるかもしれません。
そういう意味ではありません。
私は治療家として、
「現在の状態なら、このくらいの間隔で次に確認した方がいいと思います」
という提案には責任を持ちたいと考えています。
しかし、施術を実際に受けるのは患者さんです。
仕事もあれば、家庭の事情もあります。
時間的な都合や経済的な事情、生活のリズムも一人ひとり違います。
ですから、
「絶対にこの回数で来てください」
「この頻度で来なければ良くなりません」
と無理強いする考えはありません。
私がするべきなのは、
「なぜ今、このくらいの間隔を提案しているのか」
をできるだけ分かりやすく説明することです。
そして、その説明を聞いたうえで、実際にどのように施術を受けていくかを最終的に決めるのは患者さんです。
患者さんの意思を尊重することと、治療家として必要な提案をしないことは、同じではありません。
必要だと考えることはきちんと伝える。
でも、決定を押しつけない。
私はその両方を大切にしたいと考えています。
まとめ 来院間隔も施術計画の一部です
来院間隔を詰めることも、空けることも、それ自体が施術の目的ではありません。
当院が目指しているのは、一時的に楽になるだけでなく、良い状態を少しずつ安定させていくことです。
そのため、施術を始めた初期には必要に応じてある程度間隔を詰め、施術後の変化が日常生活の中でどの程度維持されるのかを確認することがあります。
そして状態が安定してきたら、少しずつ間隔を空け、その状態でも身体が安定しているかを確認していきます。
大切なのは、
「何日おきに通うのが正解か」
という数字だけではありません。
今の身体がどのような状態なのか。
施術後にどう変化したのか。
その変化がどのくらい維持されているのか。
それを確認しながら、次の来院時期を考えていくことです。
そして、必要だと考える来院間隔については、治療家として責任を持って理由とともに提案する。
そのうえで、最終的にどうするかは患者さん自身に決めていただく。
当院では「何を施術するか」だけでなく、「次にいつ身体を確認するか」まで含めて、施術計画の一部として考えています。
状態が安定した後の来院ペースについては、症状や生活状況によって考え方が変わります。腰痛が落ち着いた後の施術については、「腰痛が良くなった後もメンテナンスは必要?~当院が施術前に確認している判断ポイント」でも詳しくお伝えしています。
文責及び施術担当者:アルテカイロプラクティック院長 前田彰(院長プロフィールはこちら)
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