腰痛なのに、なぜ足や首まで見る?約20年の臨床経験で変わった私の腰痛の見方

この記事でお伝えしたいこと

  • 腰痛でも、問診や身体の状態から必要と判断すれば、足・足首・股関節だけでなく首まで確認することがあります
  • 約20年の臨床経験で変わったのは「腰痛の答え」ではなく、身体を見るための視点が増えたことです
  • 当院では「腰痛は○○が原因」と最初から決めつけず、問診と身体の状態を照らし合わせながら施術を組み立てます

はじめに

腰痛の施術というと、どのようなものを想像するでしょうか。

  • 腰の筋肉をほぐす。
  • 腰の関節を調整する。
  • 骨盤の状態を確認する。

多くの方がこういったことを想像されると思います。

もちろん、腰が痛いのですから腰を見ることは大切です。

私自身も治療家として駆け出しの頃は、

「腰が痛いのだから、まず腰を見る」

という考え方が今よりずっと強くありました。

しかし約20年、さまざまな腰痛の患者さんを見てきた中で、私自身の見る範囲は少しずつ広がっていきました。

腰だけではなく、足や足首、股関節。

さらに現在では、患者さんによっては腰から離れた「首」の状態まで確認することがあります。

だからといって、

「腰痛の本当の原因は足です」

「実は首が原因です」

という話をしたいわけではありません。

約20年の間にさまざまな理論や考え方を学び、それを実際の臨床で使いながら経験を重ねることで、身体を見るための視点が少しずつ増えてきた。

今回は、そんな私自身の腰痛の見方の変化についてお話しします。

駆け出しの頃は「腰が痛いなら、まず腰を見る」だった

治療家になったばかりの頃、腰痛の患者さんが来院されれば、私の意識はやはり腰に向いていました。

腰のどこが痛いのか。

どの筋肉が硬くなっているのか。

腰の関節はどのような状態なのか。

もちろん、こうした確認は現在でも行います。

腰痛なのに腰を見なくなったわけではありません。

ただ、今振り返ってみると、当時は現在と比べて「腰痛を見るために持っている視点」が少なかったのだと思います。

これは、当時の施術が間違っていたという意味ではありません。

経験を積み、さまざまなことを学んでいく中で、

「腰以外にも見ておいた方が良いところがあるのではないか」

と考える場面が少しずつ増えていきました。

そこから、私の腰痛を見る範囲は広がっていきました。

腰だけでなく、足・足首・股関節まで見るようになった

臨床経験を重ねる中で、まず目が向くようになったのが下半身です。

足や足首、足指、膝、股関節。

さらに、立ち方や歩き方、普段の身体の使い方なども腰と合わせて見るようになりました。

現在では、腰痛を見る際に下半身まで確認すること自体は、それほど珍しい考え方ではないと思います。

ただし私の場合、腰痛の方が来たら機械的に「とりあえず足も見る」というわけではありません。

ここで大切にしているのが問診です。

たとえば、

「足に魚の目ができやすい」

という話があれば、普段から足の特定の場所に負担が集中している可能性も考え、足首や足指の動きを確認します。

膝や股関節にも以前から不調があるのであれば、腰だけではなく下半身全体を確認することもあります。

そして実際に身体を確認した結果と、問診で伺った内容に整合性があるかを見ます。

そこで腰以外の要素も関係している可能性が高いと考えれば、腰だけに施術を集中させるのではなく、足や足首、股関節なども含めて施術を組み立てます。

つまり「腰痛だから足を見る」のではありません。

その方の話を聞き、実際の身体を確認した結果として、

「この方の場合は、腰と下半身を一緒に見た方が良さそうだ」

と判断するわけです。

腰痛に対して腰以外を確認する理由については、「腰痛は痛い場所だけ施術すれば良い?当院が施術判断で見ているポイント」でも詳しくお話ししています。

さらに経験を重ね、「腰痛なのに首を見る」という視点も加わった

下半身まで見るという話であれば、比較的イメージしやすいかもしれません。

しかし、

「腰痛なのに首を見ることがあります」

と言われると、

「腰と首に何の関係があるの?」

と思われる方もいらっしゃるでしょう。

私自身も臨床経験を重ね、さまざまな理論を学ぶ中で、腰痛を見る際に首とのつながりも考えるようになりました。

その背景の一つに、私が臨床でとても大切にしている「ロベットリアクター」という理論があります。

今回はロベットリアクターそのものを解説する記事ではないので詳しくは触れませんが、簡単に言えば、身体の離れた部位同士のつながりを考える理論の一つです。 

この考え方を学び、実際の臨床で使っていく中で、腰痛の患者さんでも首の状態を確認することが増えていきました。

たとえば私の臨床経験では、精神的なストレスが強い方で、首の上の方が非常に硬くなっているケースをよく見ます。

そうした方の中には、首の上の方の状態と腰の下の方の動きが連動しているように感じるケースもあります。

だからといって、

「ストレスがあるから腰痛の原因は首だ」

と判断するわけではありません。

ここでも重要なのは問診との整合性です。

精神的なストレスがかなり強い。

以前から首を寝違えやすい。

そして実際に確認すると首の動きも硬い。

こうした情報が重なれば、

「この方の腰痛を見るうえでは、首の状態も判断材料に入れた方が良いのではないか」

と考えます。

腰が痛いから腰だけを見るのではなく、その方から得られた情報をもとに、必要であれば首まで見る。

これも現在の私が腰痛を見る際に大切にしている視点の一つです。

約20年で増えたのは「答え」ではなく「見るための視点」

ここまで読むと、

「昔は腰が原因だと思っていたけれど、今は足や首が原因だと考えているのか」

と思われるかもしれません。

そうではありません。

約20年の臨床の中で私に起きた変化は、

「腰痛の原因について、新しい一つの正解を見つけた」

ということではないからです。

腰を見ることは今でも大切です。

足や足首、股関節を見ることもあります。

首とのつながりを見ることもあります。

そして当然、それ以外にもこれまで学んできたさまざまな視点があります。

約20年の間に、ロベットリアクターのみならず、身体を見るための多くの大切な理論や考え方を学んできました。

それを知識として覚えただけではなく、実際の患者さんを見ながら使い、

「この場合はどうだろう」

「この方には当てはまるだろうか」

と考え続けてきました。

そうした経験を繰り返す中で、それぞれの理論や考え方が少しずつ自分の中で血肉になってきたのだと思います。

その結果、昔と比べて増えたのは「腰痛の答え」ではありません。

身体を見るための視点です。

現在は、これまで身につけてきたさまざまな視点を判断材料として使いながら、目の前の患者さんの身体を見るようになりました。

「腰痛は○○が原因」と最初から答えを決めない

だからこそ現在の私は、

「腰痛は○○が原因です」

と最初から一つの答えを決めてしまうことには慎重です。

  • 腰痛は腰が原因。
  • 腰痛は骨盤が原因。
  • 腰痛は足が原因。
  • 腰痛は首が原因。

といった具合に最初から答えを決めてしまえば、その答えに合うものを患者さんの身体から探すことになりかねません。

すると、本来見るべき別の情報があっても、目に入りにくくなってしまう可能性があります。

ただ、ここは誤解してほしくないところです。

私は、一つの理論を大切にすることが良くないとは全く考えていません。

私自身、先ほどお話ししたロベットリアクターをはじめ、臨床上とても大切にしている理論はいくつもあります。

長く臨床を続けているからこそ、

「この考え方は大切だ」

と感じているものもあります。

問題だと考えているのは、理論を大切にすることではありません。

最初から一つの答えを決め、その答えに目の前の患者さんの身体を当てはめてしまうことです。

理論が先にあって患者さんを見るのではなく、まずその方の話を聞き、身体を確認する。

そのうえで、これまで学び、臨床の中で身につけてきたものの中から、何がその方を見るうえで必要なのかを考える。

約20年臨床を続けた現在、私はこの順番をとても大切にしています。

腰痛の原因を一つに決めつけることが難しい理由については、「腰痛は“原因が分からない”が普通な理由」でも詳しくお話ししています。

現在は、問診から「この方はどこまで見るべきか」を考える

では現在、腰痛の患者さんが来院されたら、腰・足・股関節・首まで毎回すべて同じように確認しているのか。

そういうわけではありません。

私がまず大切にしているのは問診です。

たとえば、精神的なストレスがかなり強い方であれば、腰と合わせて首の状態を最初から確認することがあります。

膝や股関節にも以前から問題がある方なら、腰だけではなく下半身全体を確認することが多くなります。

足に魚の目ができやすいという話があれば、足への負担のかかり方や、足首・足指の動きも見てみます。

首を頻繁に寝違えるという話があれば、それも腰痛とは関係のない話として切り離さず、首の状態を確認する材料の一つにします。

もちろん、すべての方に当てはまるわけではありません。

大切なのは、問診から最初の見立てをつくり、実際に身体を確認し、その結果に整合性があるかを見ることです。

そして、

「この方の腰痛には、どこまでが関係していそうなのか」

「今の状態に対して、何をするのが適切なのか」

「逆に、今は何をしない方が良いのか」

まで考えながら施術を組み立てていきます。

約20年で私が身につけたのは、「腰痛の本当の原因を一つ見つける方法」ではありません。

腰だけを見ていた頃から、下半身へ、そして首を含めたさらに広い範囲へ。

多くの理論を学び、実際の患者さんを見ながら経験を積み重ねることで、身体を見るための視点が少しずつ増えてきました。

現在は、それまで自分の中で血肉にしてきたものをできる限り使いながら、最初から一つの答えに当てはめることなく、目の前の患者さんの身体を見る。

もっと言えば症状だけではなく、患者さんという1人の人間を見る。

それが、約20年臨床を続けてきた現在の私の腰痛に対する向き合い方です。

腰痛に対する当院の施術方針や、来院前に知っておいていただきたいことについては、「腰痛」のページでもまとめています。

文責及び施術担当者:アルテカイロプラクティック院長 前田彰(院長プロフィールはこちら)

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